<読書>『老いと記憶』 増本康平著

書き換わる人生の記憶

ヒトの記憶は出来事を正確に記録することは苦手で、記録された情報は常に書き換えられているそうです。

経験に対する評価は、その後の経験によって書き換えられます。経験した事実は変えれませんが、その後の経験が過去の後悔や嫌な思い出を再解釈するきっかけを与えてくれるのです。

また、これまでの人生が素晴らしいものであっても、最後の数年間の経験がつらいものであれば、人生はつまらないものとして再構成される可能性があります。

高齢者にとって必要なのは、これまでの経験を思い出し再検討しようとする意欲。老いても成長し続けるやる気を失わなければ、やり直しのきかない後悔も、後悔から得た教訓や後悔の意味を見出すことで、その経験が無駄ではなかったと思うことができるのです。

ピンピンコロリという死に方は難しく、平均寿命と健康寿命の差である10年をどう悔いなく過ごすかが人生の受容を考えるうえで重要になると、この本はまとめています。

記憶

これからの10年

良い習慣

自分の寿命が後どれくらいあるのか分かりませんが、最後の10年に向け、今できることは何か。

習慣は良くも悪しくも、高齢になっても維持されます。ベストとはいかなくてもベターでよしとすれば、身につけた習慣を駆使することで、適切な判断や行動ができます。今から良い習慣を身につけておくことが大切です。

1日3時間

熟達者とされる技能の習得には1万時間の訓練が必要になるそうです。1万時間は、1日3時間とすると10年程度です。これは今からでも可能です。そして、熟達化した技能は続けることで、高齢期でも維持されます。

覚えることをやめる

覚えることをやめれば、忘れることもありません(笑)。衰えに逆らうのではなく、それを受け入れてどう対応するかを考えばよいのです。記憶補助ツールを使うこと。現代においてはスマートフォンやタブレットがそれにあたります。これらは高齢者にこそメリットをもたらしてくれます。

本の紹介『老いと記憶』

http://www.chuko.co.jp/shinsho/2018/12/102521.html
増本康平 著
中央公論新社
2018/12/20 刊行

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